懊悩
anguish
意味
severe mental or physical suffering or pain.
深い苦悩・苦しみ・悲しみの精神状態。
由来・語源
「懊」(おう・もだえる・心が乱れる)と「悩」(のう・なやむ・苦しむ)を組み合わせた古典漢語。「心が乱れてもだえ苦しむ」という字義で、中国古典に由来する表現。英語anguishはラテン語angustia(狭さ・窮迫)に由来する。
説明
心理的な苦悶・煩悶を意味する古典漢語で、明治期の文学・心理学翻訳においてanguishやtormentなど西洋語に対応する語として多用された。二葉亭四迷の『浮雲』(1887年)をはじめとする明治近代小説にも頻出し、西洋の内面心理を表現する語彙として広く定着した。それ以前から漢詩文で使われた既存の語だが、明治期に翻訳文学・心理学の場で西洋的な精神苦悩の概念と結びつくことで語感が洗練され、近代日本語における重要な感情語彙の一つとなった。