翻訳語辞典Shaqai
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徳性

virtue
言語英語・フランス語
翻訳時期明治期(1881年頃)
分野哲学
翻訳者井上哲次郎

意味

a moral virtue; good moral quality, especially that of moral excellence.

道徳的に優れた品性・美徳・善性。

由来・語源

「徳」(道徳的な卓越性・善き品性)と「性」(生まれながらの本性・本質)を組み合わせた漢語。朱子学の『中庸』に見える「尊徳性」(徳の本性を尊ぶ)に由来し、天から賦与された道徳的本性を意味する。英語 virtue はラテン語 virtus(勇気・卓越性)に、フランス語 vertu も同語源に由来する。

説明

英語 virtue・フランス語 vertu の訳語として明治期の哲学分野で用いられた語。1881年(明治14年)に井上哲次郎らが編纂した日本初の哲学辞典『哲学字彙』において virtue の訳語として収録されたことで哲学用語として定着した。もともと朱子学の「尊徳性」(天から授かった道徳的本性を尊重する)に由来する古典漢語で、西洋哲学の道徳的卓越性・美徳という概念と儒学の徳概念が自然に接合した例である。明治の道徳教育や倫理学講義を通じて普及し、「徳性涵養」という形でも広く使われた。