翻訳語辞典Shaqai
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井上毅

井上毅

1844189551歳)

明治時代の官僚・政治家。肥後国熊本藩(現・熊本県)の藩士の家に生まれ、藩校で漢学を修めた後、明治政府に出仕してフランス・ドイツへ留学し、欧州各国の憲法や法制度を精力的に調査した。

帰国後は太政官制度局・法制局などで立法実務に携わり、伊藤博文のもとで大日本帝国憲法の起草作業を中心的に担った。ドイツ憲法学を範としながらも日本の国体に合わせた条文を練り上げる過程で、「統治」「主権」「臣民」「議会」「内閣」「勅令」など、近代国家運営に欠かせない法律・政治用語を整備した。

教育行政面でも「教育勅語」の起草に深く関わり、国民道徳の基盤となる文言の選定に腐心した。第二次伊藤内閣では文部大臣を務めたが、過労がたたり51歳で病没した。緻密な文章表現と法的概念への造詣の深さで知られ、明治の法制語彙を実質的に体系化した人物として評価されている。

4訳語数
ドイツ語 / 英語翻訳元言語
1889年頃訳語年代

分野別訳語数

政治2
法律2

訳語一覧4

憲法法律
constitution
ドイツ語明治期井上毅
憲(おきて・根本の規範)と法(規範・ルール)を組み合わせた造語。ドイツ法学の影響を強く受けた。
勅令法律
Verordnung / ordinance
ドイツ語・英語明治期井上毅
「勅」は天子の発する言葉・命令を指す漢字で、律令体制に由来する語。「令」は法令・命令を意味する。古代中国の律令制から日本の律令体制に引き継がれた漢語を、近代立憲国家の行政命令概念として転用した。
臣民政治
subject / Untertan
英語・ドイツ語明治期井上毅
「臣」は君主に仕える家来・臣下を意味し、「民」は一般の人々を指す。両者はもと別個の概念だったが、西洋の「subject/Untertan(君主権に服する者)」を訳出するにあたり一語として結合・再定義された。
統治政治
Herrschaft / government
ドイツ語・英語明治期井上毅
「統」は統べる・まとめる、「治」は治める・統制するを意味する漢字。ともに古典漢語に用例を持ち、「国家・人民を一元的に支配・管理する」意を表す熟語として近代立憲国家論の統治概念に当てられた。