民主政治democracy / démocratie英語・フランス語明治中期中江兆民「民」は人民・国民を意味し、「主」は主権・主体を意味する。古典漢語では「民の主」=君主を指したが、近代的解釈では「民が主」を意味するよう転義した。democracyはギリシャ語demos(人民)+kratos(支配)に由来する。
文明文化civilization英語・フランス語明治期福沢諭吉「文」は文事・文化・教養を意味し、「明」は明らかにすること・啓発を意味する。儒学の古典語から転用し、civilizationの近代的意義(物質的・精神的発展)を付与した。
自然哲学nature / Natur英語・ドイツ語・フランス語明治中期「自」は「みずから・おのずから」、「然」は「そのようである状態」を意味し、合わせて「おのずからそうである」となる。老子の「無為自然」や仏教の「自然法爾(じねんほうに)」に由来する古典的概念。
近代文化modern / modernity英語・フランス語・ドイツ語明治期近(近い・直近の)と代(時代・世代)を組み合わせた造語。「現在に近い時代」という意味で、西洋語 modern のラテン語語源 modo(今まさに)に相応する概念を漢字で表現した。
芸術文化art / Kunst英語・ドイツ語・フランス語明治期西周芸(わざ・技芸・才能)と術(すべ・技法・方法)を組み合わせた造語。技芸の方法・体系という意味を持ち、古典漢語の「藝」(六芸などの技能)を再転用した。
恋愛文化love / amour英語・フランス語明治中期恋(こい・慕う気持ち)と愛(いつくしむ・大切に思う)を組み合わせた造語。慕い愛するという意味で、肉体的欲望よりも精神的・感情的な絆を強調する語として創出された。
美哲学beauty / das Schöne英語・ドイツ語明治期西周古漢字の会意文字。羊(大きな羊)と大(大きい)を組み合わせ、もとは「大きく肥えた羊」→「美味しい」→「美しい」という意味の変遷をたどる。古来からの漢字を哲学的概念の訳語として転用した。
物理科学physics英語幕末〜明治初期物(もの・事物)と理(ことわり・道理・法則)を組み合わせた古典漢語。「物事の道理」を意味し、宋代朱子学の「格物致知」(物に格って知を致す)の思想にも通じる概念を転用した。
思想哲学thought / Gedanke英語・ドイツ語明治期思(おもう・考える)と想(おもいえがく・想像する)を組み合わせた古典漢語。両字とも心の働きを表し、合わせて「深く考え思いめぐらすこと」を意味する。
判断哲学judgment / Urteil英語・ドイツ語明治期判(刀で分け目を入れる・決める)と断(切る・決断する)を組み合わせた古典漢語。刀で切り分けて判定するという比喩的意味を持ち、もとは仏教語として用いられた。
分析科学analysis / Analyse英語・ドイツ語明治期分(わける・分割する)と析(割く・細かく分け裂く)を組み合わせた造語。析は木を割るさまを表す字で、合わせて「細かく分け分けて明らかにする」という意味を持つ。
総合哲学synthesis / Synthese英語・ドイツ語明治期総(すべて・まとめる)と合(あわせる・一つにまとめる)を組み合わせた造語。「すべてをまとめ合わせる」という意味を持ち、ギリシャ語syntithenai(一緒に置く・結合する)の概念に対応する。
命題哲学proposition英語明治初期西周命(言いつける・題する・名づける)と題(主題・問題・テーマ)を組み合わせた造語。「言葉によって命じられた問い・主張」という意味で、論理学の命題概念を的確に表す。
原理哲学principle / Prinzip英語・ドイツ語明治期原(みなもと・根源・もと)と理(ことわり・道理・法則)を組み合わせた漢語。「物事の根源にある道理・法則」という意味で、ラテン語principium(最初の石・根本)に対応する。
法則科学law / Gesetz英語・ドイツ語明治期法(規範・きまり・ルール)と則(のり・準拠すべき基準)を組み合わせた漢語。「守られるべき規範・準拠」という意味で、自然界の普遍的な規則性を表す語として定着した。
手段哲学means / Mittel英語・ドイツ語明治期手(て・やり方・腕前)と段(段階・方法・やり口)を組み合わせた漢語。「手を使う作業のやり方」という字義から、目的を実現するための方法全般を指す語として定着した。
平等政治equality英語明治期中江兆民平(たいら・ひとしい・差がない)と等(ひとしい・同じ程度)を組み合わせた漢語・仏教語。「すべてが同等であること」という字義を持ち、仏教では衆生の平等を、近代では人権・地位の均等を意味する。
義務法律duty / obligation英語明治期義(道義・あるべき道・正しい道)と務(つとめ・はたすべきこと)を組み合わせた漢語。「道義として果たすべき務め」という字義を持ち、道徳的・法的に課せられた責任を表す。
議会政治parliament英語明治期議(はかる・論じ合う・審議する)と会(あつまる・集まり・機関)を組み合わせた漢語。「討議するために人が集まる機関」という字義を持ち、代表者が立法・審議を行う機関を指す。
選挙政治election英語明治期選(えらぶ・選択する)と挙(あげる・推挙する・登用する)を組み合わせた漢語。「選んで推し上げること」という字義で、古来は優秀な人材を選抜する意で使われ、近代では投票による代表選出を指す。
独立政治independence英語明治初期福沢諭吉独(ひとり・単独で・他に頼らず)と立(たつ・自らの力で立つ)を組み合わせた漢語。「他に頼らず自らの力で立つこと」という字義で、政治的独立と個人の自律の双方を表す。
主権政治sovereignty / souveraineté英語・フランス語明治初期柴田昌吉「主」は主体・支配者・主権者を意味し、「権」は権力・権限を意味する。管子(七臣七主)に初出とされる古典漢語で、近代的な国家最高権力の概念に充てられた。sovereigntyは古フランス語soverainete(至高の権力)に由来し、ラテン語superanus(上位の)が語根。
銀行経済bank英語明治期銀(しろがね・貨幣)と行(なかま・同業商人組合)を組み合わせた漢語。「銀(貨幣)の取引を行う商人組合」という字義で、英語bankのイタリア語源banco(机・ベンチ)とは異なる経路で定着した。
需要経済demand英語明治期需(もとめる・必要とする・必要としてほしがる)と要(かなめ・必要・重要なこと)を組み合わせた漢語。「必要として求めること」という字義で、財・サービスに対する購買欲求を表す。
輸入経済import英語幕末・明治期輸(おくる・はこぶ・搬送する)と入(いれる・中に入る・国内へ)を組み合わせた漢語。「外から運び入れること」という字義で、外国の財・商品を国内に搬入・購入することを表す。
財政経済public finance / fiscal policy英語明治期財(たから・財産・ざいさん)と政(まつりごと・政治・行政)を組み合わせた漢語。「国家財産の管理と行政」という字義で、国家の経済的収支管理・予算運営を表す。
化学科学chemistry英語幕末・明治期化(かわる・変化する・変容する)と学(まなぶ・学問)を組み合わせた漢語。「物質の変化を研究する学問」という字義で、物質の組成・性質・変化を科学的に扱う学問を表す。
生物科学biology英語明治期生(いきる・いのち・生命を持つ)と物(もの・存在・実体)を組み合わせた漢語。「生きているもの・命あるもの」という字義で、生命を持つ存在(動物・植物・微生物など)全般を指す。
数学科学mathematics英語明治期数(かず・数量・論理・ことわり)と学(まなぶ・学問)を組み合わせた漢語。「数量・論理を研究する学問」という字義を持ち、漢字の「数」には「論理・ことわり」という意味もある。
地理科学geography英語幕末・明治期地(ち・大地・土地)と理(ことわり・道理・しくみ)を組み合わせた漢語。「大地のしくみと道理を研究すること」という字義で、地表の自然・人文的事象を扱う学問を指す。
歴史文化history英語明治期歴(へる・経過する・次々と経てきた)と史(ふみ・記録・歴史家)を組み合わせた漢語。「次々と経過してきた出来事の記録」という字義で、時間の経過とともに積み重なった事象の記録・研究を指す。
文学文化literature英語明治期「文」は文字・文章・文事(文学的な事柄)を意味し、「学」は学問・学術を意味する。古典漢語の「文学」は文事の学問という意で、近代的なliteratureの概念を担う語として再利用された。
心理哲学psychology英語明治期西周心(こころ・精神・内的な働き)と理(ことわり・道理・しくみ)を組み合わせた漢語。「心のしくみと道理を研究すること」という字義で、精神・意識現象を扱う学問を指す。
宗教文化religion英語明治期宗(みなもと・宗派・崇める対象・根本)と教(おしえ・教義・教え)を組み合わせた漢語・仏教語。「宗派の教え」という仏教的字義が、信仰・超越的存在への帰依という宗教一般を指す語に転用された。
哲学者哲学philosopher英語明治期西周哲(かしこい・物事の道理に通じた・賢明な)と学(まなぶ・学問)と者(もの・ひと・その道の人)を組み合わせた漢語。「道理に通じた学問を修める人」という字義で、西洋語philosopherのギリシャ語原義「知恵を愛する者」に対応する。
研究科学research英語明治期研(とぐ・みがく・深く掘り下げる)と究(きわめる・突き詰める・奥深くまで探る)を組み合わせた漢語。「徹底的に磨き、究め尽くすこと」という字義で、事物の本質を深く探求する活動を表す。
衛生科学hygiene英語・ドイツ語明治初期長与専斎衛(まもる・護る)と生(いのち・生命)を組み合わせた漢語。「生命を守る・健康を護る」という字義で、荘子「庚桑楚篇」の「衛生の経(生を養うの道)」に由来する。英語hygieneはギリシャ神話の健康の女神ヒュギエイアに由来する。
愛文化love / agapē英語・ギリシャ語明治初期古来より漢字圏に存在した語で、「心が気にかかる・執着する・大切にする」を意味した。古代中国語では「仁愛・慈愛」の意で用いられ、仏教では渇愛(タンハー)の訳として煩悩的な意味合いも持つ。ギリシャ語 agapē は神の無償の愛を意味し、これに「愛」を当てることで語義が大きく拡張された。
品性教育character英語明治初期阿部泰蔵「品」(人としての等級・品格)と「性」(生まれつきの性質・本性)から成る漢語で、「人の本来的な品位・性質」を意味する。英語characterはギリシャ語kharaktēr(刻まれた印・特徴)に由来し、道徳的な人格を指す意味で用いられた。
品行教育character英語明治初期中村正直「品」(等級・品位・人としての格)と「行」(行い・ふるまい・実践)を組み合わせた古典漢語。「人の行いの品格・品位ある振る舞い」を意味し、中国古典にも用例がある既存の漢語を西洋概念の訳語に転用した。
定数科学constant英語明治期「定」(さだまる・一定の・固定した)と「数」(かず・すうち)を組み合わせた漢語で、「変化しない固定された数値」を意味する。英語constantはラテン語constans(固定して立つ・安定した)に由来し、動かない・変わらないという字義を「定」で表現した。
懊悩哲学anguish英語明治期「懊」(おう・もだえる・心が乱れる)と「悩」(のう・なやむ・苦しむ)を組み合わせた古典漢語。「心が乱れてもだえ苦しむ」という字義で、中国古典に由来する表現。英語anguishはラテン語angustia(狭さ・窮迫)に由来する。
結核科学tuberculosis英語・ラテン語幕末期緒方洪庵「結」(むすぶ・固まる)と「核」(たね・かたまり・しこり)を組み合わせた漢語。リンパ節が腫れてかたまりを形成する様子から命名。英語tuberculosisはラテン語tuberculum(小さな瘤・結節)の縮小形に由来する。
品格哲学character英語明治初期「品」(品位・等級・人としての質)と「格」(等級・基準・品位・地位)を組み合わせた古典漢語。「人としての品位・格式・質の高さ」を字義とし、中国古典に由来する既存語を明治期の翻訳文脈に転用した。
人格哲学personality / Persönlichkeit英語・ドイツ語明治期井上哲次郎「人」(ひと・人間)と「格」(等級・資格・地位・品位)を組み合わせた漢語で、「人間としての格・品位・道徳的資格」を意味する。英語personalityはラテン語persona(仮面・役柄・人格)に、ドイツ語Persönlichkeitも同語源に由来する。
情報科学renseignementフランス語明治初期酒井忠恕「情」(様子・実情・内容)と「報」(しらせる・告げる・報知)を組み合わせた語で、「情状の報知」を字義とする。敵の状況を知らせる軍事的文脈から生まれ、現代では英語informationの訳語として定着している。
修身教育moral science英語明治初期阿部泰蔵儒教の四書の一つ「大学」(礼記所収)に由来する古典漢語。「大学」の八条目「修身・斉家・治国・平天下」の冒頭に位置し、「身を修める」すなわち自己の行いや徳を磨くことを意味する。「修」(おさめる・みがく)と「身」(からだ・自己)を組み合わせた語。
学生教育student英語明治期「学」(まなぶ・学問)と「生」(ひと・若者)を組み合わせた古典漢語。律令制の大学寮に学ぶ者を「学生(がくしょう)」と呼んだ用法に由来し、近世以降「がくせい」と読み替えられた。英語studentはラテン語studere(熱心に取り組む・励む)に由来する。
青年社会Young Men英語明治期小崎弘道「青」(若々しさ・春・新鮮さを象徴する色)と「年」(年齢・時代)を組み合わせた語。陰陽五行では青は春・若さを象徴し、「青年」は「若い年頃の人」を字義とする。唐詩などの「青雲の志」(高い志・若々しい向上心)に着想を得た造語とも伝えられる。
徳性哲学virtue英語・フランス語明治期井上哲次郎「徳」(道徳的な卓越性・善き品性)と「性」(生まれながらの本性・本質)を組み合わせた漢語。朱子学の『中庸』に見える「尊徳性」(徳の本性を尊ぶ)に由来し、天から賦与された道徳的本性を意味する。英語 virtue はラテン語 virtus(勇気・卓越性)に、フランス語 vertu も同語源に由来する。
写真文化photograph英語幕末〜明治初期「写」(うつす・模写する)と「真」(まこと・実物)を組み合わせた漢語で、「真実のものを写し取る」を字義とする。もと肖像画や写生画を意味し、光学的記録技術の訳語として転用された。英語photographはギリシャ語phōs(光)とgraphein(描く)に由来し「光で描く」を意味する。
電話工学telephone英語明治中期「電」(電気)と「話」(会話・ことば)を組み合わせた和製漢語で、「電気による会話」を字義とする。英語telephoneがギリシャ語tele(遠く)とphōnē(声)に由来し「遠くへ声を届ける」を意味するのに対し、日本語訳は電気的な伝送手段を前面に出した訳語構成となっている。
汽車工学steam locomotive英語明治初期「汽」(蒸気・水蒸気)と「車」(乗物・車両)を組み合わせた和製漢語。「汽」は水が沸騰して生じる蒸気を意味し、蒸気機関の動力源をそのまま字義に取り込んでいる。英語のsteam locomotiveやtrainに対応するが、動力方式を前面に出した訳語構成となっている。
進化科学evolution英語明治中期石川千代松「進」(進む・発展する)と「化」(変化する・なる)を組み合わせた和製漢語。英語evolutionはラテン語evolvere(展開する・巻き物を広げる)に由来し、もとは「展開」を意味した。ダーウィンが生物の変化・発展過程を表す語として用い、「進化」はその方向性(進む)を字義に込めた訳語となっている。
存在哲学being / existence / Sein英語・ドイツ語明治中期井上哲次郎「存」(ながらえる・のこる)と「在」(ある・いる)を組み合わせた漢語系熟語で、「そこにあり続ける」を字義とする。英語existenceはラテン語ex(外へ)+sistere(立つ)に由来し「立ち現れる・現出する」を意味する。ドイツ語Seinは動詞sein(ある・である)の名詞化で「あること」そのものを指す。
暗示哲学suggestion英語明治期井上哲次郎「暗」(ほのめかす・隠す)と「示」(しめす)を組み合わせた語。古来、直接言わずそれとなく伝えることを意味する既存の漢語を、心理学的暗示概念の訳語に転用した。
右翼政治right wing / droite英語・フランス語大正期「右翼」は軍事用語として部隊の右側面を指す語でもあるが、政治的用法はフランス語「aile droite」(右の翼)の直訳に由来する。フランス語droiteは「右」「正しい」を意味するラテン語directusに遡る。
左翼政治left wing / gauche英語・フランス語大正期「左翼」は軍事用語として部隊の左側面を指す語でもあるが、政治的用法はフランス語「aile gauche」(左の翼)の直訳に由来する。フランス語gaucheは「左」「不器用な」を意味する。
共和政治republic英語・ラテン語江戸末期箕作省吾古代中国の「共和」の故事に由来。紀元前841年、周の厲王が失脚後、召公と周公が共同で政務を執った期間を「共和」と呼ぶ。「共に和して治める」という含意を持ち、王なき共同統治を表す。
共産主義政治communism / communisme英語・フランス語明治期communismはラテン語communis(共有の・共通の)にフランス語の接尾辞-ismeが付いた語。「共」は共有・共同、「産」は財産・生産物を意味し、生産手段の共有を旨とする思想を端的に表現した。
唯物論哲学materialism / Materialismus英語・ドイツ語明治初期井上哲次郎「唯」は「ただ〜だけ」という限定を意味し、「物」は物質・物体、「論」は理論・学説を意味する。「物質のみを実在とする理論」という字義。materialismのmateriaはラテン語で「素材・物質」を意味する。
警察法律police英語・フランス語明治初期「警」は警戒・注意することを意味し、「察」は看察・観察・推知することを意味する。「警戒してあらかじめ察する」という字義。policeの語源はギリシャ語polis(都市国家)に遡るラテン語politia(国家統治)。
分配経済distribution英語・フランス語明治期「分」は分けること・分割を意味し、「配」は割り当て・配分を意味する。「分けて割り当てる」という字義。distributionはラテン語distributio(分配・分類)に由来する。
感性哲学sensibility / Sinnlichkeit英語・ドイツ語明治初期西周「感」は外界の刺激に反応・感じることを意味し、「性」は本質的な性質・働きを意味する。「外界に感じる本質的能力」という字義。Sinnlichkeitはドイツ語Sinn(感覚)に由来する。
分子科学molecule英語・フランス語明治期「分」は分けること・部分を意味し、「子」は小さなものを意味する。「物質を分けたときの小さな単位」という字義。moleculeはフランス語molécule(1678年)から、さらにラテン語molecula(小さな塊)の縮小形に由来する。
原子科学atom英語・ギリシャ語明治期「原」は根本・起源・源を意味し、「子」は小さなものを意味する。「物質の根本にある小さな粒」という字義。atomはギリシャ語atomos(a-=否定+tomos=切ること)、すなわち「分割できないもの」に由来する。
質量科学mass英語明治期「質」は物質・本質・素材を意味し、「量」は量・大きさを意味する。「物質の本質的な量」という字義。massはラテン語massa(塊・固まり)から、さらにギリシャ語maza(大麦をこねた菓子)に遡る。
時間哲学time / Zeit英語・ドイツ語明治初期「時」は時・時刻・ある時点を意味し、「間」は間・あいだ・持続を意味する。古典漢語にも「時間」の用例はあるが、近代的な哲学・物理学上の概念を担う語として再利用された。
空間哲学space / Raum英語・ドイツ語明治初期「空」は空・虚ろを意味し、「間」は間・ひろがりを意味する。「何もない広がり・虚ろな間」という字義。spaceはラテン語spatium(広がり・間隔)に由来する。
理論哲学theory英語・ドイツ語明治期「理」は道理・条理・事物の筋道を意味し、「論」は論述・議論・体系的な考察を意味する。「事物の筋道を体系的に論じたもの」という字義。theoryはギリシャ語theoria(観察・考察・思索)に由来する。
美術文化fine arts / beaux-arts英語・フランス語明治初期西周「美」は美しさ・審美的価値を意味し、「術」は技術・技芸を意味する。「美を追求する技芸」という字義。fine artsのfineはラテン語finitus(完成された・洗練された)に由来する。
喜劇文化comedy英語・フランス語明治期「喜」は喜び・笑いを意味し、「劇」は演劇・劇的な演技を意味する。「喜びや笑いを扱う演劇」という字義。comedyはギリシャ語komodia(komos=宴会の祭り+oide=歌)に由来する。
悲劇文化tragedy英語・フランス語明治期「悲」は悲しみ・哀れを意味し、「劇」は演劇・劇的な演技を意味する。「悲しみや苦難を扱う演劇」という字義。tragedyはギリシャ語tragoidia(tragos=ヤギ+oide=歌)に由来し、主人公が苦難・死を迎える演劇ジャンルを指す。
国債経済government bond / dette publique英語・フランス語明治期「国」は国家を、「債」は債務・借金を意味する。国家が負う債務という字義で、古典漢語にも存在した語を近代財政用語として転用した。bondはラテン語bandumに由来し、拘束・義務を原義とする。
特権政治privilege / prerogative英語・フランス語明治期「特」は特別・特定を意味し、「権」は権力・権利を意味する。特別に認められた権利という字義。privilegeはラテン語privilegium(privus=個人+lex=法)に由来し、「個人のための特別な法」を原義とする。
平時政治peacetime / temps de paix英語・フランス語明治期「平」は平和・平穏を意味し、「時」は時間・時期を意味する。平和な時期という字義。peacetimeはpeace(ラテン語pax=平和)とtime(古英語tīma=時)の複合語。
戦時政治wartime / temps de guerre英語・フランス語明治期「戦」は戦争・戦闘を意味し、「時」は時間・時期を意味する。戦争の時期という字義。wartimeはwar(古英語werre)とtime(古英語tīma)の複合語。
野蛮社会barbarian / savage / barbarie英語・フランス語明治初期「野」は野原・粗野・礼節のないさまを意味し、「蛮」は古典漢語で南方の未開民族を指す語。古典中国語に「野蛮」は「礼節のない・粗暴な」の意で存在した語で、barbarianの訳語として転用された。barbarianはギリシャ語barbaros(「バルバル」と聞こえる外国語を話す者)に由来する。
越権法律ultra vires / excès de pouvoirラテン語・フランス語明治期「越」は超える・越境することを意味し、「権」は権限・権力を意味する。与えられた権限を超えるという字義。ultra viresはラテン語ultra(超えて)+vires(力の複数形、virの複数)に由来する。
慣行法律custom / usage / pratique英語・フランス語明治期「慣」は慣れ親しむ・習慣を意味し、「行」は行為・行うことを意味する。習慣的に行われる行為・やり方という字義。customはラテン語consuetudo(習慣)に由来し、繰り返されることで形成される社会規範を意味する。
共用法律common use / usage commun英語・フランス語明治期「共」は共同・ともにを意味し、「用」は使用・用途・利用を意味する。複数者がともに使うという字義。commonはラテン語communis(共同の・公共の)に由来し、共同体に属するものを意味する。
私権法律private right / droit privé英語・フランス語明治期「私」は個人・私的・公の対義を意味し、「権」は権利・権限を意味する。個人の私的領域における権利という字義。private rightのprivateはラテン語privatus(国家から分離された・個人的な)に由来する。
実権政治real power / effective authority / pouvoir réel英語・フランス語明治期「実」は実際・現実・真実を意味し、「権」は権力・権限を意味する。実際に機能する・行使される権力という字義。real powerのrealはラテン語realis(物・事に即した)に由来する。
上告法律appeal / pourvoi en cassation英語・フランス語明治期「上」は上位・上方を意味し、「告」は告げる・申告・訴えることを意味する。上位(の裁判所)に申告する・訴えるという字義。appealはラテン語appellare(呼びかける・訴える)に由来し、ad(向かって)+pellare(駆る)が語根。
例外法律exception / exception英語・フランス語明治期「例」は例・規則・慣例を意味し、「外」は外側・外れることを意味する。規則・例の外にある事例という字義。exceptionはラテン語exceptio(excipere=取り出す)に由来し、ex(外に)+capere(取る)が語根で「取り出されたもの」を原義とする。
酸素科学zuurstof / oxygenオランダ語・英語江戸後期宇田川榕菴「酸」は酸っぱいもの・酸を、「素」は根本要素を表す。オランダ語 zuurstof の字義を踏まえた翻訳借用で、「酸を生む基本物質」という当時の化学理解を漢語化した語である。
水素科学waterstof / hydrogenオランダ語・英語江戸後期宇田川榕菴「水」は水を、「素」は根本要素を意味する。waterstof の直訳であり、「水をなす基本物質」というラヴォワジエ以後の化学観を簡潔に示す。
窒素科学stikstof / nitrogenオランダ語・英語江戸後期宇田川榕菴「窒」はふさぐ・息を詰まらせる意、「素」は根本要素を表す。stikstof の「窒息させる要素」という意味を漢字二字で表現した翻訳語である。
白金科学platina / platinumオランダ語・英語江戸後期宇田川榕菴「白金」は古くは銀を指す語でもあったが、榕菴はこれを再編して platinum の訳語に充てた。銀白色で貴い金属という外観的特徴を漢字で示した語である。
元素科学grondstof / elementオランダ語・英語江戸後期宇田川榕菴「元」はもと・根源、「素」は基本要素を意味する。grondstof や element の根本成分という意味を、簡潔な漢語として再構成した。
酸化科学oxidatie / oxidationオランダ語・英語江戸後期宇田川榕菴「酸」は酸素・酸性概念を、「化」は変化を意味する。ラヴォワジエ的な「酸素を得て変化する」反応理解を簡潔に示す訳語である。
溶解科学oplossing / oplossen / solutionオランダ語・英語江戸後期宇田川榕菴「溶」は液の中でとけること、「解」はほどけて分かれることを意味する。物質が媒質中に分散して均一になる過程を、漢字の意味で精密に表した。
属科学geslacht / genusオランダ語・ラテン語江戸後期宇田川榕菴「属」はある類に属する・まとまることを意味する既存漢語を転用した。複数の近縁種をまとめる分類単位という genus の機能を、簡潔に表した訳語である。
珈琲文化koffie / coffeeオランダ語・英語江戸後期宇田川榕菴語源はオランダ語 koffie、さらに遡ればアラビア語 qahwa に由来する。「珈」「琲」は音を写しつつ、玉飾りのような漢字を選んで異国風の飲料を雅に表した当て字とみられる。
組合法律partnership / association英語・フランス語明治期「組」は人や物を組み合わせること、「合」は合わせて一つになることを意味する。もともとの「仲間・一団」の語義が、明治期に西洋の団体・共同事業体の概念を受け止める語として拡張された。
信用経済credit / trust英語明治期「信」は信じること、「用」は用いる・取り立てることを意味する。もともとの漢語が、明治以後に credit の訳語として用いられ、信じて取引に用いるという意味を強めた。
保健科学health / public health英語昭和前期「保」はたもつ・守る、「健」はすこやかさを意味する。字義通り「健康を保つこと」であり、health や public health の実践的側面を表す日本語として発達した。
弁護法律defense / advocacy英語明治期「弁」はことばでわきまえる・言い分を述べること、「護」はまもることを意味する。言論によって人を守るという字義が、近代法の defense 概念に重ねられた。
現代文化contemporary / modern / present age英語明治期「現」はあらわれて今ここにあること、「代」は時代・世代を意味する。字義どおり、目の前にあらわれている現在の時代を表す。
空気科学air / atmosphere英語・フランス語・ドイツ語江戸後期〜明治期「空」はから・空間、「気」は目に見えない気体や作用を意味する。空間を満たす気体という字義から、air の訳語として用いられた。
世界文化world英語明治期仏教語では梵語 lokadhātu などの訳語として、時間を表す「世」と空間・境域を表す「界」を合わせた語とされる。近代には world の訳語として地理的・社会的意味が強まった。
建築工学architecture / building英語明治期「建」は立てること、「築」は土や石などを積み固めて造ることを意味する。建物を立て造る行為から、architecture 全般を表す語となった。
解決社会solution / resolution英語明治期「解」はほどく・分かること、「決」は決める・決着させることを意味する。絡んだ問題をほどいて結論を出すという字義で solution / resolution に対応した。
表現文化expression / representation英語・フランス語・ドイツ語明治期「表」は外にあらわすこと、「現」はあらわれることを意味する。内にあるものを外に現すという字義で expression に対応した。
構成哲学composition / structure / constitution英語明治期「構」は組み立てること、「成」は成り立つことを意味する。要素を組んで全体を成すという字義で composition / structure に対応した。
管理経済management / administration / control英語明治期「管」はつかさどる・取り扱うこと、「理」は筋道を立てて整えることを意味する。物事を担当し、秩序立てて処理することを表す。
戸籍法律family register / family registration英語明治初期「戸」は家ごとの単位、「籍」は帳簿・登録を意味する。家を単位として人々を記録した帳簿という字義から、近代の family register 制度を表す語となった。
裁判法律trial / judgment / adjudication英語明治期「裁」はさばく・処理すること、「判」は見分けて決めることを意味する。物事をさばいて是非を決めるという字義で trial / judgment に対応した。
区別哲学distinction / classification英語・フランス語明治期「区」は区切る・分けること、「別」はわけることを意味する。違いに応じて分けるという字義で distinction / classification に対応した。
商社経済trading company / commercial firm英語明治初期「商」はあきない・商売、「社」は結社・組織を意味する。商業を営む組織という字義で trading company に対応した。
商法法律commercial law / mercantile law英語明治期「商」は商業・取引、「法」は法則・法律を意味する。商取引を規律する法律という字義で commercial law に対応した。
発売経済sale / release / launch英語明治期「発」は出すこと、「売」はうることを意味する。市場に出して売り始めるという字義で sale / release / launch に対応した。
廃止政治abolition / repeal / discontinuance英語明治期「廃」はすたれる・やめること、「止」はとどめることを意味する。続いていたものをやめて止めるという字義で abolition / repeal に対応した。
奉還政治return / restitution / restoration英語(対応語)江戸後期〜明治期「奉」はうやうやしく差し上げること、「還」は返すことを意味する。目上に返し奉るという字義から、政治権限や所有を返上する語となった。
勤王政治loyalism to the emperor / royalism英語(対応語)古代〜幕末「勤」はつとめ尽くすこと、「王」は君主・天子を意味する。君主のために力を尽くすという字義から、忠誠や王政支持の政治的意味を担った。
征伐政治punitive expedition / subjugation英語(対応語)古代〜明治期「征」は遠くに出向いて討つこと、「伐」はうつ・攻めることを意味する。討伐遠征の字義から、処罰的な軍事行動を表す。
総督政治governor-general / governor英語古代〜近代「総」はすべてをまとめること、「督」はみはる・統率することを意味する。全体を統率監督する官という字義で governor-general に対応した。
号令政治command / order / signal command英語古代〜明治期「号」は大声で告げること、「令」は命じることを意味する。声を発して命じることという字義で command / order に対応した。
平定政治pacification / subjugation英語(対応語)古代〜明治期「平」はたいらかにすること、「定」はしずめて落ち着かせることを意味する。乱れた状況を平らかにして定めるという字義で pacification に近い。
兵端政治outbreak of war / war trigger / casus belli英語(対応語)明治初期「兵」は軍事・戦い、「端」は端緒・はじまりを意味する。戦の始まりという字義から、戦争勃発のきっかけを表す。
理解哲学understanding / comprehension英語明治期「理」は筋道・ことわり、「解」はときほぐして分かることを意味する。物事の筋道を解き明かしてわかるという字義で understanding に対応した。
思慮哲学consideration / prudence / thought英語明治期「思」は考えること、「慮」は先々をはかることを意味する。よく考え、先を見通して配慮するという字義で prudence などに対応した。
条理法律principle / reason / natural justice英語明治期「条」は筋道・条目、「理」はことわり・道理を意味する。物事の通るべき筋道という字義で principle / reason に対応した。
至当哲学justifiable / proper / reasonable英語明治期「至」はこの上なく到ること、「当」はあたる・かなうことを意味する。もっとも妥当であるという字義で justifiable / proper に対応した。
説諭法律admonition / exhortation / persuasion英語江戸末期〜明治期「説」はとききかせること、「諭」はさとすことを意味する。道理を分かりやすく説いて改めさせるという字義で admonition に対応した。
断然社会decisively / definitely / resolutely英語明治期「断」はきっぱりと切ること、「然」はそのような状態を表す。断ち切るように態度を明確にするという字義から decisively に対応した。
決断社会decision / definite decision / determination英語明治期「決」は決めること、「断」は断ち切ることを意味する。迷いやためらいを断ち切って決めるという字義で determination に対応した。
貨幣経済money / currency / coin英語明治初期「貨」はたから・財貨、「幣」は通用する財物・貨幣を意味する。交換に用いられる財を表す字義から money / currency に対応した。
活計社会livelihood / means of living英語(対応語)古代〜明治期「活」は生きること、「計」ははかる・営むことを意味する。生きるための手立てをはかるという字義で livelihood に対応した。
騰貴経済rise in prices / appreciation英語明治初期「騰」ははね上がること、「貴」は値が高いことを意味する。価格が上へ跳ね上がるという字義で price rise や appreciation に対応した。
任選政治appointment / nomination / selection for office英語明治初期「任」は役目を負わせること、「選」はえらぶこと。職務を与えるために人を選ぶという字義から成る。
奮発文化spirited effort / splurge / generous spending英語室町後期「奮」はふるいたつこと、「発」は起こる・起こすこと。勢いや気力を内から起こすという字義が核にある。
復古政治restoration / return to the old order / reaction英語江戸後期「復」はもどること、「古」はいにしえ。古い制度や状態に立ち返る、またはそれを回復するという字義を持つ。
放蕩文化dissipation / debauchery / licentiousness英語奈良時代「放」はほしいままにすること、「蕩」はみだれること。規律を離れてふるまいが乱れるという字義から成る。
交際社会association / social intercourse / friendship / dating英語平安中期福沢諭吉「交」はまじわること、「際」は出会うこと。互いに出会い、関係を取り結ぶという字義を持つ。
学校教育school英語・フランス語明治初期「学」は学ぶ・学問を意味し、「校」は木を交差させた囲い・場所の意から転じてまなびやを指す。古代中国の王莽が設置した儒学の「学」「校」に由来し、周礼の教育機関概念にも通じる古典漢語。
入塾教育entering a private academy / enrollment in a cram school英語明治期「入」ははいること、「塾」は私的な教育の場。塾生となるためにその場へ加わることをそのまま示す。
解剖科学anatomy / dissection / autopsyオランダ語・英語江戸後期「解」はほどく・切り分けること、「剖」は切り開くこと。身体の内側を開いて構造を明らかにする字義をそのまま表す。
因循社会conservatism / inertia / procrastination英語平安初期「因」はよること、「循」はしたがうこと。既存のものによりかかって従うという字義から、保守・停滞の意味へ展開した。
敬白文化respectfully yours / respectfully submitted英語不詳「敬」はうやまうこと、「白」は申し述べること。敬意をこめて申し上げるという文語的な結びの表現である。
巨細文化details / particulars / large and small matters英語平安中期「巨」は大きいこと、「細」はこまかいこと。大小のすべて、または詳しい仔細を合わせて示す。
在館文化being in a building / being present at an embassy or museum英語近代「在」はその場にあること、「館」は建物・公館・施設。館の中に在るという状態をそのまま示す。
熟談社会thorough discussion / settlement by discussion英語安土桃山時代「熟」は十分にこなれること、「談」は話し合うこと。よく話し合って結論を得るという意味を表す。
観察科学observation英語明治期「観」はよく見る・眺める意、「察」は明らかにする・詳しく調べる意。智慧によって対象を見極めるという仏教的字義が西洋科学の observation 概念に適合し転用された。
口調文化tone英語明治期「口」は口・言葉を、「調」は整ったリズム・調子を意味し、「言葉を口に出す際の調子」を表す。英語 tone はギリシャ語 tonos(張り・音程)→ラテン語 tonus を経て「声の調子・話し方」を意味するようになった。
極科学pole英語・オランダ語江戸末期〜明治初期形声文字。「木」(棟木)+音符「亟」から成り、もとは建物の棟木を意味し「きわみ」へ転義。英語 pole はギリシャ語 pólos(天球の回転軸)→ラテン語 polus(軸の端)を経た語で、両語の「きわみ・軸端」という字義が合致した。
官能哲学faculty英語明治初期西周「官」は感覚器官・職能・担い手を意味し、「能」は「できる・はたらき・能力」を意味する。合わせて「感覚器官の働き・心的能力」を字義とする。英語 faculty はラテン語 facultas(能力・容易さ)に由来する。
驚愕哲学astonishment英語古典漢語由来「驚」は馬+音符「敬」からなる形声字で、馬が突然驚いて跳ね上がる様を表し「おどろく」を意味する。「愕」はりっしんべん(心)+「咢」からなり、突然の衝撃に心が止まるような強い驚きを表す。両字を重ねて「ひどく驚く」の意を強調した語。
親和科学affinity英語・オランダ語(affiniteit)江戸後期宇田川榕菴「親」は人が近づき親しむことを意味し、「和」は争いなく調和・なごむことを意味する。合わせて「互いになじみ調和する」という字義となる。英語 affinity はラテン語 affinitas(境界を共にすること・縁戚関係)に由来し、ad-(~へ)+ finis(境界・端)から成り、「境界を接する→近さ・親しさ」を意味する。
年齢社会age英語明治期「年」は穀物の一年の実りから転じて年月・歳月を表し、「齢」は歯(歯列の変化で年齢を判断した古代の慣習)に由来する形声字で生きた年数を意味する。両字とも古典漢語に存在し、それぞれ「よわい」に相当する。
流体科学fluid英語・オランダ語(fluide / vloeistof)江戸後期「流」は水がながれること、「体」は物質・からだ・形あるものを表す。合わせて「流れる性質をもつ物体」の意。英語fluidはラテン語fluere(流れる)に由来する。
聴学科学acoustics / auditory science英語明治期以降「聴」は耳で聞くこと、注意して音を受け取ることを表し、「学」は体系的な研究を意味する。合わせて「聞く働きについての学問」の意。
無欲哲学disinterestedness / unselfishness / desirelessness英語平安期以前「無」はないこと、「欲」はほしがる心・欲望を表す。合わせて「欲がない」「貪らない」の意。disinterestedness は interest(利害・関心)を離れた状態をいう。
事業経済business / enterprise / undertaking英語明治初期「事」は行うべき仕事・ことがら、「業」は継続的な仕事・営みを表す。business は古英語の busy に由来し、活動・商売・会社などへ意味が広がった。
万物哲学all things / all creation / universe英語・ラテン語古典漢語由来「万」は非常に多い数、「物」は存在するもの・事物を表す。合わせて「あらゆる存在」の意。universe はラテン語 universum(一つにまとめられたもの)に由来する。
付属工学attached / accessory / attachment英語明治期「付」はつくこと、「属」は従い属すること。accessory はラテン語 accedere(近づく・加わる)に由来する。
性質科学quality / property / nature英語・ラテン語江戸後期宇田川榕菴「性」は生まれつきのあり方、「質」は中身・本体を表す。quality はラテン語 qualitas(どのようであるか)に由来する。
化身文化incarnation英語・サンスクリット語仏教漢訳由来・明治期「化」は姿を変えること、「身」は身体を表す。incarnation はラテン語 caro(肉)に由来し、肉体を取ることを意味する。
単元教育axiom / unit英語・ドイツ語明治初期西周「単」はひとつ、「元」は根本・もとを表す。unit はラテン語 unus(一つ)に、axiom はギリシア語 axiōma(当然と認められるもの)に由来する。
切手文化postage stamp / stamp英語明治初期前島密「切手」は切符手形の略とされ、一定の権利や支払いを示す証票を意味した。stamp は押印・印紙・切手を表す英語で、postage stamp は郵便料金前納証票をいう。
本草学科学materia medica / pharmacognosy / herbal studiesラテン語・英語・中国語古代中国由来・江戸期「本草」は薬用となる草木、広くは薬用の動植鉱物を表し、「学」は体系的研究を意味する。materia medica はラテン語で「医薬の材料」をいう。
子孫社会descendant / posterity / offspring英語古典漢語由来「子」はこども、「孫」はまご・後代の血縁を表す。descendant はラテン語 descendere(下る・由来する)に由来する。
塩酸科学hydrochloric acid英語江戸後期宇田川榕菴「塩」は塩化物・食塩に関わる成分、「酸」は酸性物質を表す。hydrochloric は水素 hydro- と塩素 chlor- に由来し、HCl の酸を意味する。
基督文化Christ英語・ギリシア語・ラテン語キリシタン期〜明治期「基督」は Christ の音を漢字で写した表記。Christ はギリシア語 Christos(油注がれた者)に由来し、ヘブライ語 Messiah(メシア)の訳語にあたる。
通用経済currency / circulation / general use英語古典漢語由来・明治期「通」は行き渡ること、「用」は用いられること。currency はラテン語 currere(走る・流れる)に由来し、流通・通用・現行性を表す。
伝染病科学contagious disease / communicable disease英語江戸後期「伝」は伝わること、「染」は病や毒がうつること、「病」はやまいを表す。contagious はラテン語 contagio(接触・感染)に由来する。
心理学哲学psychology / mental philosophy英語明治初期西周「心」は精神・意識、「理」は法則・すじみち、「学」は研究を表す。psychology はギリシア語 psyche(魂・心)と logos(学)に由来する。
体魄科学body / physique / corporeal form英語漢語由来・明治期「体」は身体、「魄」は魂に対する肉体的生命・形ある身を表す。body は古英語 bodig に、physique はギリシア語 physis(自然・身体的性質)に由来する。
血属法律consanguinity / blood relationship英語明治期「血」は血縁・血筋、「属」はつながり属することを表す。consanguinity はラテン語 con-(共に)と sanguis(血)に由来する。
配偶法律spouse / mate / partner英語古典漢語由来・明治期「配」は組み合わせる・つれあわせること、「偶」は対になるものを表す。spouse はラテン語 sponsus(約束された者)に由来する。
人類社会mankind / humankind / human race英語古典漢語由来・明治期「人」は人間、「類」は同じ種類・仲間を表す。mankind は古英語系の man と kind に由来し、現代では humankind や human race も用いられる。
利息経済interest英語古典漢語由来・明治期「利」はもうけ・利益、「息」は増えるものを表す。interest はラテン語 interesse(関係する・差額がある)に由来し、金銭貸借の対価を意味するようになった。
不可産経済unproductive英語明治初期西周「不」「可」はできない・可能でないこと、「産」は生み出すことを表す。unproductive は produce(生産する)に否定接頭辞 un- が付いた語。
農政経済agricultural policy / agricultural administration英語江戸期〜明治期「農」は農業、「政」は政治・行政を表す。policy はギリシア語 polis(都市国家)に由来し、統治上の方針を意味する。
勧農経済encouragement of agriculture / agricultural promotion英語古代律令期〜明治期「勧」はすすめ励ますこと、「農」は農業を表す。promotion はラテン語 promovere(前へ進める)に由来する。
商政経済commercial policy / commerce administration英語明治期「商」は商業・売買、「政」は政治・行政を表す。commercial はラテン語 commercium(交易)に由来する。
工政工学industrial policy / industry administration英語明治期「工」は工作・工業・技術、「政」は政治・行政を表す。industrial はラテン語 industria(勤勉・活動)に由来する。
富国政治national enrichment / wealthy country英語江戸期〜明治期「富」は豊かさ・財力、「国」は国家を表す。enrichment は rich(富んだ)に由来し、豊かにすることを意味する。
学問教育learning / scholarship / science英語古代漢語由来・明治期「学」はまなぶこと、「問」は問い究めること。scholarship は学者的研究、science はラテン語 scientia(知識)に由来する。
学術教育learning / arts and sciences / scholarship英語明治期「学」は学問、「術」は技法・専門技術を表す。arts and sciences は自由学芸と科学的知識を含む広い学術領域をいう。
正史文化official history / authorized history英語古典漢語由来「正」は正式・正統、「史」は歴史記録を表す。official history は公的機関が編んだ、または承認した歴史をいう。
年表文化chronological table / timeline英語中世漢語由来・明治初期西周「年」は年次、「表」は項目を並べ示す表を表す。chronological はギリシア語 chronos(時間)に由来する。
万国史文化world history / universal history英語明治初期「万国」は多くの国・世界諸国、「史」は歴史を表す。world history は国境を越えた歴史過程を扱う分野をいう。
国語教育national language / Japanese language英語古典漢語由来・明治期「国」は国家・国民、「語」は言語を表す。national language は国家や国民共同体を代表する言語をいう。
電論科学electricity / theory of electricity英語明治初期西周「電」は電気、「論」は理論・論究。theory of electricity は電気現象の理論的研究をいう。
雷学科学meteorology / atmospheric electricity英語明治初期西周「雷」はかみなり、「学」は研究。atmospheric electricity は大気中の電気現象をいう。
微分科学differentiation / differential英語明治期「微」はきわめて小さいこと、「分」は分けること。differential はラテン語 differre(異なる)に由来する。
精神学哲学mental science / pneumatology英語明治期「精神」は心・霊的原理、「学」は研究。mental science は心的現象の学、pneumatology は霊・精神に関する学をいう。
真性哲学true nature / authenticity英語古典漢語由来・明治期「真」は本当、「性」は性質・本性。authenticity はギリシア語 authentikos(本物の)に由来する。
宇宙科学universe / cosmos英語・ギリシア語古典漢語由来・明治期「宇」は空間的広がり、「宙」は時間的広がりを表すと解される。universe はラテン語 universum(一つにまとめられたもの)に由来する。
演繹法哲学deductive method / deduction英語明治初期西周「演」は押し広げる、「繹」は糸口から引き出すこと。「法」は方法。deduction はラテン語 deducere(導き出す)に由来する。
帰納法哲学inductive method / induction英語明治初期西周「帰納」は個々の事例をまとめて一つの結論へ帰すこと。「法」は方法。induction はラテン語 inducere(導き入れる)に由来する。
拝火教文化Zoroastrianism英語・ペルシア語明治期「拝火」は火を礼拝すること、「教」は宗教。Zoroastrianism は預言者 Zarathustra / Zoroaster に由来する。
唯一神学文化monotheism英語・ギリシア語明治期「唯一」はただ一つ、「神」は deity、「学」はここでは教説・思想を表す。monotheism は mono-(一つ)と theos(神)に由来する。
救世主文化savior / messiah英語・ヘブライ語明治期「救世」は世を救うこと、「主」は主なる者。savior は save(救う)に、messiah はヘブライ語 mashiah(油注がれた者)に由来する。
経済学経済economics / political economy英語明治初期西周「経済」は経世済民から転じた語、「学」は研究。economics はギリシア語 oikonomia(家政管理)に由来する。
制産学経済political economy / economics英語明治初期西周「制」は治め整えること、「産」は生産・財貨、「学」は研究。political economy は国家社会の経済を扱う学問をいう。
親族法律Verwandtschaft / parentéドイツ語・フランス語明治期穂積陳重「親」は近しい・縁のある者、「族」は一族・集団を意味する。古典漢語に用例を持つ語を、近代民法の技術的な法律概念として再定義した。
相続法律Erbschaft / successionドイツ語・フランス語明治期穂積陳重「相」は姿・状態、「続」は継ぎ続けること。仏教語で「前の状態を次が引き継ぐ連続」を意味し、そこから財産・地位の包括的承継を指す法律用語へと転用された。
勅令法律Verordnung / ordinanceドイツ語・英語明治期井上毅「勅」は天子の発する言葉・命令を指す漢字で、律令体制に由来する語。「令」は法令・命令を意味する。古代中国の律令制から日本の律令体制に引き継がれた漢語を、近代立憲国家の行政命令概念として転用した。
臣民政治subject / Untertan英語・ドイツ語明治期井上毅「臣」は君主に仕える家来・臣下を意味し、「民」は一般の人々を指す。両者はもと別個の概念だったが、西洋の「subject/Untertan(君主権に服する者)」を訳出するにあたり一語として結合・再定義された。
統治政治Herrschaft / governmentドイツ語・英語明治期井上毅「統」は統べる・まとめる、「治」は治める・統制するを意味する漢字。ともに古典漢語に用例を持ち、「国家・人民を一元的に支配・管理する」意を表す熟語として近代立憲国家論の統治概念に当てられた。
国語教育Nationalsprache / national languageドイツ語・英語明治期上田万年「国」は国家・国土を意味し、「語」は言葉・語法を意味する。古典漢語にも「国語」の用例はあるが、近代日本では国民国家の言語を指す特定の概念語として上田万年が再定義した。
自助社会self-help英語明治初期中村正直「自」は自分自身を、「助」は助ける・援けることを意味する。古典漢語「天道自助者」(天は自ら助くる者を助く)に由来する表現で、中村正直はスマイルズのself-helpの字義とこの漢籍典拠を重ね合わせて訳語に採用した。
自立社会self-reliance / independence英語明治初期福沢諭吉「自」は自分自身で・みずからを、「立」は立つ・自らの足で立つことを意味する漢字。古典漢語にも「他に依頼せず己の力で立つ」という意味での用例があり、明治期にself-reliance・independenceの個人的・倫理的側面を表す訳語として再定義された。
天哲学nature / the Creator英語・フランス語明治初期福沢諭吉古代中国・日本における「天」は空・宇宙・宇宙の最高道徳原理を意味し、儒教では人間の道徳の根拠として「天命」「天道」の形で用いられてきた。明治期にはこの概念が西洋自然法の「Nature(自然)」・「God(神)」の訳語的対応語として機能した。
病理科学Pathologie / pathologyドイツ語・英語明治期「病」は疾病・やまいを、「理」は道理・原理・学問を意味する漢字。ギリシャ語pathos(苦しみ・疾患)+logos(理論・学問)に由来するドイツ語Pathologieを、病気の「ことわり(理)」と訳した漢語造語。
回虫科学Ascaris / roundwormラテン語・英語江戸末期「蛔(かい)」は虫偏に回を組み合わせた漢字で、腸内でくるくると回転・蠕動する虫の形状に由来する。「回」は渦を巻く・旋回するを意味し、線虫の蠕動運動・円筒形状を字義に取り込んでいる。
葉書文化postcard / postal card英語明治初期前島密「はしがき(端書)」が転じた語。「葉書」は当て字で、文書の端(はし)に記した短い書き付けが独立した一枚の通信文になったことに由来する。「葉」の字義(葉・ページ)と重ね合わせた可能性もある。
手紙文化letter英語近世「手」は手元・筆跡・文書を、「紙」は紙・書面を意味する。本来「手元に置いて使う紙」という実質的意味だったものが、近世に書簡・消息文の意に転じた。中国語では手元の紙=トイレ用紙の意で異なる発展を示す。
庭球文化lawn tennis英語明治期「庭」は庭園・広場を、「球」は球・球技を意味する漢字。英語lawn(芝の庭)を「庭」に、tennisの球技性を「球」に対応させた意訳。英語のtennis自体はフランス語tenez(さあ受けろ)に由来するとされる。
遊撃手文化shortstop英語明治期中馬庚「遊」は自由に動く・遊動することを、「撃」は撃つ・攻撃することを、「手」は人・競技者を意味する。軍事用語「遊軍・遊撃隊」に由来する造語で、二塁と三塁の間を守りながら広範に動く守備位置の機動性を表す。
獨乙文化Deutsch / Duitslandドイツ語・オランダ語江戸末期「獨(独)」は「どい」の音を、「乙」は「つ」の音を表す当て字。「独逸」も同義の別表記。オランダ語Duitsの短縮形を日本語音に近い漢字で写した音訳で、ドイツ語Deutschとも同源(古高ドイツ語diutisc=民衆の)。
墺地利文化Österreich / Austriaドイツ語・英語幕末・明治期「墺」は土偏をもつ当て字で、「オウ」の音を写した略字。「地利」は「ちり・たり」の音を表す。ドイツ語Österreich(オスター=東+ライヒ=国)の意味は訳語に取り込まれず、発音のみを漢字化した。
伊太利文化Italia / Italyイタリア語・英語江戸末期「伊」は「い」の音を、「太」は「た」の音を、「利」は「り」の音を表す当て字。「伊太利亜」は「ア」まで写した完全形。Italiaの語源はイタリック人の地名に由来し、意味は反映されていない純粋な音訳。
英吉利文化England / Britain英語江戸末期「英」は「えい」の音を写し光輝・優秀の意をもつ漢字、「吉利」は「ぎりす・ぎりし」の音を表す当て字。語源はポルトガル語inglez(英国人・英国の)で、戦国期の南蛮貿易を通じて伝来した。
阿蘭陀文化Holanda / Hollandポルトガル語・オランダ語江戸時代「阿蘭陀」はポルトガル語Holandaを「阿(あ)」「蘭(ら)」「陀(だ)」と音訳した当て字。「和蘭」「和蘭陀」も同義の別表記。略字「蘭」はオランダから伝来した西洋知識全体を指す象徴文字として江戸文化に定着した。
亜米利加文化America英語江戸末期「亜(あ)」「米(め・み)」「利(り)」「加(か)」の音を写す当て字。「米利堅」はAmericaのうち「meri-can」に対応する音節を漢字化したもの。「亜」は大陸・国名に接頭的に用いられた。
仏蘭西文化Franceフランス語・英語江戸末期「仏(ふつ)」は[F-]の音を、「蘭(らん)」は[-ran-]の音を、「西(す・せ)」は[-s/-ce]の音を写す当て字。Franceのf-r-a-n-c-eを仏・蘭・西の三字で音訳した中国由来の表記を日本が採用した。
西班牙文化España / Hispaniaスペイン語・ラテン語江戸時代ラテン語Hispaniaの音(ヒスパニア)を中国語で写した当て字。「西(しー)」は[his-]の音を、「班(はん)」は[-pan-]の音を、「牙(が)」は[-ia]の音を表す。スペイン語自国名Españaとは異なるラテン語形に基づく音訳。
葡萄牙文化Portugalポルトガル語安土桃山時代広東語発音でPortugalを音訳した当て字。「葡(ぽ)」は[Po-]の音を、「萄(とう)」は[-rtu-]に対応する音を、「牙(が)」は[-gal]の音を写した。「葡萄」との字形の一致は偶然で、意味とは無関係な純粋な音訳。
倫敦文化London英語幕末・明治期「倫(りん・ろん)」は[Lon-]の音を、「敦(とん・どん)」は[-don]の音を写す当て字。古代ケルト語に由来するLondonはローマ時代の「Londinium」に遡る地名で、漢字には音のみを写した。
巴里文化Parisフランス語幕末・明治期「巴(は・ぱ)」は[Pa-]の音を、「里(り)」は[-ri]の音を写す当て字。フランス語Parisはパリシイ族(Parisii)の居住地に由来する地名で、「巴」「里」の字義(うずまき・村里)は音訳に使われたにすぎない。
紐育文化New York英語明治期「紐(じゅう・にゅう)」は[New-]の音を、「育(いく)」は[-York]の音を写す当て字。中国語「紐約」の「約(ヤク)」を英語音により近い「育(イク)」に替えた日本独自の変形音訳。
伯林文化Berlinドイツ語明治期「伯(はく・べ)」は[Ber-]の音を、「林(りん)」は[-lin]の音を写す当て字。Berlinの語源はスラブ語の湿地(berl-)とする説やドイツ語の熊(Bär)に由来するとの説があるが、漢字には意味は反映されていない。
墨西哥文化Méxicoスペイン語江戸末期・明治期「墨(ぼく・め)」は[Me-]の音を、「西(し・き)」は[-xi-]の音を、「哥(か・こ)」は[-co]の音を写す当て字。「墨」はインク・墨汁を意味するが、ここでは純粋に「me」の音を写す中国語慣用の音訳字として用いられた。亜墨利加(America)の「墨」と同一用法。
消費経済consumption英語幕末・明治初期神田孝平「消」は物が尽きることを、「費」は財を使って減ることを表す漢字。いずれも資源・財の消滅・減少を意味し、「欲求を満たすために財やサービスを使い尽くす」という近代経済学の概念に充てられた。
取引経済transaction英語江戸期(明治期に経済・法律用語として確立)「取る」は商品・財物を受け取る動作を、「引く」は代金・決済を引き取る動作を表す和語動詞。売手が商品を引き渡し、買手が代金を引くという売買の相互動作を一語に凝縮した純粋な和語複合名詞。漢語由来でなく、日本独自の動詞合成による商業用語。
麻薬科学narcotic英語昭和初期「麻」は感覚を失わせる・しびれさせるという意味を持つ漢字で、「麻痺」「麻酔」など神経の鈍磨・麻痺を表す語に共通して用いられる。「薬」は薬物・薬品を表す。「神経を麻痺させる薬」という字義がnarcoticのギリシア語語根narkē(麻痺・しびれ)と意味的に対応しており、近代医学の文脈で訳語として充てられた。