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経済

市場・貨幣・信用・保険など、近代経済制度の導入とともに広まった訳語の分野。

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西周3子安峻1神田孝平1
経済経済
economy
英語明治期
古典語「経世済民」(世を治め民を救う)から意味を拡張・縮小して転用した。
産業経済
industry
英語明治期
産(うむ・生産する)と業(わざ・仕事・職業)を組み合わせた造語。生産活動としての仕事という意味。
資本経済
capital
英語明治期
資(もとで・財産・資金)と本(もと・根本・元本)を組み合わせた造語。生産のための元手という意味。
労働経済
labor
英語明治期
労(ねぎらい・苦労・はたらく)と働(はたらく)を組み合わせた造語。苦労して働くという意味を含む。
市場経済
market
英語明治期
市(いち・売買の場)と場(ば・場所)を組み合わせた造語。取引が行われる場所という意味。
企業経済
enterprise
英語明治後期
企(くわだてる・計画する)と業(わざ・事業)を組み合わせた造語。事業を企てる組織という意味。
銀行経済
bank
英語明治期
銀(しろがね・貨幣)と行(なかま・同業商人組合)を組み合わせた漢語。「銀(貨幣)の取引を行う商人組合」という字義で、英語bankのイタリア語源banco(机・ベンチ)とは異なる経路で定着した。
株式経済
stock
英語明治期
株(木の株・権利の単位・持分)と式(方式・制度・形式)を組み合わせた漢語。「一定の方式で区分された資本の持分」という字義で、会社の資本を均等に分割した権利単位を指す。
投資経済
investment
英語明治期
投(なげる・委ねる・投じる)と資(もとで・資本・資金)を組み合わせた漢語。「資本を投じること」という字義で、利益を期待して資金を特定の対象に委ねる行為を表す。
利益経済
profit
英語明治期
利(もうけ・利得・有益なこと)と益(ます・もうかる・恵み)を組み合わせた漢語。古くは仏教的な「恵み」を意味したが、近代では経済的な純収益・収得を指す語として定着した。
損失経済
loss
英語明治期
損(そこなう・減らす・損害を与える)と失(うしなう・なくなる・失う)を組み合わせた漢語。「物を損なって失うこと」という字義で、経済活動における純損害・損害額を表す。
需要経済
demand
英語明治期
需(もとめる・必要とする・必要としてほしがる)と要(かなめ・必要・重要なこと)を組み合わせた漢語。「必要として求めること」という字義で、財・サービスに対する購買欲求を表す。
供給経済
supply
英語明治期
供(そなえる・提供する・供する)と給(くばる・とどける・給付する)を組み合わせた漢語。「必要なものを揃えて届けること」という字義で、市場への財・サービスの提供を表す。
価格経済
price
英語明治期
価(あたい・値段・貨幣的評価)と格(おきて・基準・等級)を組み合わせた漢語。「価値の基準・定められた値段」という字義で、財の貨幣的評価額を表す。
貿易経済
trade
英語幕末・明治期
貿(かえる・交換する・取り引きする)と易(かえる・とりひきする・容易にする)を組み合わせた漢語。「物を交換し取引すること」という字義で、国家間の商品取引を意味する。
輸出経済
export
英語幕末・明治期
輸(おくる・はこぶ・搬送する)と出(だす・外に出る・外部へ)を組み合わせた漢語。「国外へ運び出すこと」という字義で、国内の財・商品を外国へ搬出・販売することを表す。
輸入経済
import
英語幕末・明治期
輸(おくる・はこぶ・搬送する)と入(いれる・中に入る・国内へ)を組み合わせた漢語。「外から運び入れること」という字義で、外国の財・商品を国内に搬入・購入することを表す。
通貨経済
currency
英語明治期
通(とおる・流通する・広く行きわたる)と貨(たから・財貨・貨幣)を組み合わせた漢語。「広く流通する貨幣」という字義で、「流通貨幣」の略称として法定の交換手段を表す。
金融経済
finance
英語明治期
金(かね・貨幣・資金)と融(とける・流れる・融通する)を組み合わせた漢語。「資金を融通すること」という字義で、貨幣・資本の流通・貸借を表す。
財政経済
public finance / fiscal policy
英語明治期
財(たから・財産・ざいさん)と政(まつりごと・政治・行政)を組み合わせた漢語。「国家財産の管理と行政」という字義で、国家の経済的収支管理・予算運営を表す。
農業経済
agriculture
英語明治期
農(たがやす・農耕する・農民)と業(わざ・生業・なりわい)を組み合わせた漢語。「農耕を行う産業・生業」という字義で、土地を耕して食物や原料を生産する産業を指す。
恐慌経済
panic / crisis
英語・ドイツ語明治期
恐(おそれる)と慌(あわてる)の合成語。社会や経済がパニック状態に陥ることを指す。
分配経済
distribution
英語・フランス語明治期
「分」は分けること・分割を意味し、「配」は割り当て・配分を意味する。「分けて割り当てる」という字義。distributionはラテン語distributio(分配・分類)に由来する。
国債経済
government bond / dette publique
英語・フランス語明治期
「国」は国家を、「債」は債務・借金を意味する。国家が負う債務という字義で、古典漢語にも存在した語を近代財政用語として転用した。bondはラテン語bandumに由来し、拘束・義務を原義とする。
信用経済
credit / trust
英語明治期
「信」は信じること、「用」は用いる・取り立てることを意味する。もともとの漢語が、明治以後に credit の訳語として用いられ、信じて取引に用いるという意味を強めた。
保険経済
insurance
英語明治初期
「保」は守る、「険」は危うさ・危険を意味する。危険から身を守るという漢語的な字義が、insurance の制度的意味に適合して採用された。
管理経済
management / administration / control
英語明治期
「管」はつかさどる・取り扱うこと、「理」は筋道を立てて整えることを意味する。物事を担当し、秩序立てて処理することを表す。
統計経済
statistics
英語明治初期子安峻
「統」はまとめること、「計」は数える・はかることを意味する。多くの数量をまとめて計るという字義で statistics に対応した。
会計経済
accounting
英語明治期
「会」は集め合わせること、「計」は数えはかることを意味する。収支や財産をまとめて数えるという字義から accounting に対応した。
会社経済
company / corporation
英語明治期
「会」は集まること、「社」は仲間・結社を意味する。人々が集まって事業を営む団体という字義で company に対応した。
商社経済
trading company / commercial firm
英語明治初期
「商」はあきない・商売、「社」は結社・組織を意味する。商業を営む組織という字義で trading company に対応した。
発売経済
sale / release / launch
英語明治期
「発」は出すこと、「売」はうることを意味する。市場に出して売り始めるという字義で sale / release / launch に対応した。
貨幣経済
money / currency / coin
英語明治初期
「貨」はたから・財貨、「幣」は通用する財物・貨幣を意味する。交換に用いられる財を表す字義から money / currency に対応した。
金穀経済
money and grain / goods and funds
英語(対応語)明治初期
「金」は金銭、「穀」は穀物を意味する。現金と米穀をまとめて示す語で、財貨全般にも広がった。
負債経済
debt / liability
英語明治期
「負」は背負う・負担すること、「債」は借りて返すべき金品を意味する。背負った返済義務という字義で debt / liability に対応した。
騰貴経済
rise in prices / appreciation
英語明治初期
「騰」ははね上がること、「貴」は値が高いことを意味する。価格が上へ跳ね上がるという字義で price rise や appreciation に対応した。
合併経済
combination / merger / amalgamation
英語明治初期
「合」はあわせること、「併」はならべて一つにすること。複数のものを結び合わせて統合する意味を強めた構成である。
月給経済
monthly salary / salary
英語室町後期
「月」は月単位、「給」は与える賃金。毎月定期的に支払う給与であることを明示する。
競争経済
competition / Konkurrenz
英語・ドイツ語近代
「競」も「争」もきそうことを表す字で、力比べや張り合いを重ねて表現している。
事業経済
business / enterprise / undertaking
英語明治初期
「事」は行うべき仕事・ことがら、「業」は継続的な仕事・営みを表す。business は古英語の busy に由来し、活動・商売・会社などへ意味が広がった。
利用経済
use / utilization
英語明治初期
「利」は役に立つこと・利益、「用」はもちいること。utilization はラテン語 utilis(役に立つ)に由来する。
通用経済
currency / circulation / general use
英語古典漢語由来・明治期
「通」は行き渡ること、「用」は用いられること。currency はラテン語 currere(走る・流れる)に由来し、流通・通用・現行性を表す。
生産経済
production
英語明治初期
「生」は生み出すこと、「産」は産み出されたもの・財を表す。production はラテン語 producere(前へ導き出す・作り出す)に由来する。
消費経済
consumption
英語明治初期
「消」は消える・なくなること、「費」はついやすこと。consumption はラテン語 consumere(使い尽くす)に由来する。
利息経済
interest
英語古典漢語由来・明治期
「利」はもうけ・利益、「息」は増えるものを表す。interest はラテン語 interesse(関係する・差額がある)に由来し、金銭貸借の対価を意味するようになった。
不可産経済
unproductive
英語明治初期西周
「不」「可」はできない・可能でないこと、「産」は生み出すことを表す。unproductive は produce(生産する)に否定接頭辞 un- が付いた語。
農政経済
agricultural policy / agricultural administration
英語江戸期〜明治期
「農」は農業、「政」は政治・行政を表す。policy はギリシア語 polis(都市国家)に由来し、統治上の方針を意味する。
勧農経済
encouragement of agriculture / agricultural promotion
英語古代律令期〜明治期
「勧」はすすめ励ますこと、「農」は農業を表す。promotion はラテン語 promovere(前へ進める)に由来する。
商政経済
commercial policy / commerce administration
英語明治期
「商」は商業・売買、「政」は政治・行政を表す。commercial はラテン語 commercium(交易)に由来する。
貨殖経済
wealth accumulation / profit-making
英語古典漢語由来
「貨」は財貨・金銭、「殖」は増やすことを表す。wealth は古英語 weal(富・幸福)に由来する。
租税経済
tax / taxation
英語古代法制由来・明治期
「租」は年貢、「税」は徴収物。tax はラテン語 taxare(評価する)に由来する。
直税経済
direct tax
英語明治期
「直」は直接、「税」は租税。direct tax は負担者から直接徴収される税をいう。
地方税経済
local tax
英語明治期
「地方」は地域公共団体、「税」は租税。local tax は地方政府が課す税をいう。
経済学経済
economics / political economy
英語明治初期西周
「経済」は経世済民から転じた語、「学」は研究。economics はギリシア語 oikonomia(家政管理)に由来する。
制産学経済
political economy / economics
英語明治初期西周
「制」は治め整えること、「産」は生産・財貨、「学」は研究。political economy は国家社会の経済を扱う学問をいう。
商業経済
commerce / business
英語明治期
「商」は売買、「業」は営み。commerce はラテン語 commercium(交易)に由来する。
交易経済
trade / exchange
英語古典漢語由来・明治期
「交」は互いに交わること、「易」は取り替えること。trade は売買・通商を意味する。
専売経済
monopoly / government monopoly
英語明治期
「専」は独占すること、「売」は販売。monopoly はギリシア語 monos(一つ)と polein(売る)に由来する。
消費経済
consumption
英語幕末・明治初期神田孝平
「消」は物が尽きることを、「費」は財を使って減ることを表す漢字。いずれも資源・財の消滅・減少を意味し、「欲求を満たすために財やサービスを使い尽くす」という近代経済学の概念に充てられた。
取引経済
transaction
英語江戸期(明治期に経済・法律用語として確立)
「取る」は商品・財物を受け取る動作を、「引く」は代金・決済を引き取る動作を表す和語動詞。売手が商品を引き渡し、買手が代金を引くという売買の相互動作を一語に凝縮した純粋な和語複合名詞。漢語由来でなく、日本独自の動詞合成による商業用語。