天
意味
Heaven; the supreme cosmic/moral principle (used to translate the concept of 'God' or 'Nature' as the source of natural rights in Enlightenment thought)
天(自然権思想における創造主・自然の原理)。人間に生来の権利を与える超越的・道徳的根拠として用いられた概念。
All men are created equal (by the Creator).
天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず。(福沢諭吉『学問のすゝめ』)
Nature (as in 'natural rights' = rights endowed by Heaven/Nature)
自然・天賦。天賦人権論において人間に本来備わる権利の源泉として用いられた語。
由来・語源
古代中国・日本における「天」は空・宇宙・宇宙の最高道徳原理を意味し、儒教では人間の道徳の根拠として「天命」「天道」の形で用いられてきた。明治期にはこの概念が西洋自然法の「Nature(自然)」・「God(神)」の訳語的対応語として機能した。
説明
西洋自然権思想(natural rights)を日本語で表現する際に、儒教・朱子学の「天(宇宙の最高道徳原理)」と西洋啓蒙思想の「God(創造主)」または「Nature(自然)」を重ね合わせた概念語。福沢諭吉は『学問のすゝめ』(1872年)冒頭の「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」において、アメリカ独立宣言の「all men are created equal」の創造主(Creator)に相当する語として「天」を用い、西洋の平等・人権思想を日本の読者に受容させた。キリスト教的な「神(God)」を直接充てることを避け、儒学になじみ深い「天」に自然権の源泉という意味を込めることで、啓蒙思想を日本の文脈に根付かせた。明治期の自由民権運動でも「天賦人権論」の語で広まった。
初出情報
出典
- 『学問のすゝめ』本文中で言及されている文献・資料