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社会

社会関係や共同体の捉え直しのなかで生まれた、近代社会思想の訳語の分野。

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福沢諭吉2西周1中村正直1小崎弘道1前島密1
社会社会
society
英語明治初期西周
仏教語・漢語の「社会」(神社の集まり)を転用し、西洋的な社会概念の訳語とした。
組織社会
organization
英語明治後期
組(くむ・組み合わせる)と織(おる・複雑に絡み合わせる)を組み合わせた造語。複雑に組み合わさった構造という意味。
社会
he
英語明治期
古来「かれ」は「あの人・あれ」を指す指示代名詞で性別を問わなかった。漢字「彼」は彳(行く・道)と皮(あの・遠いもの)を組み合わせた字で、「向こう側のもの」を意味する。
青年社会
Young Men
英語明治期小崎弘道
「青」(若々しさ・春・新鮮さを象徴する色)と「年」(年齢・時代)を組み合わせた語。陰陽五行では青は春・若さを象徴し、「青年」は「若い年頃の人」を字義とする。唐詩などの「青雲の志」(高い志・若々しい向上心)に着想を得た造語とも伝えられる。
環境社会
environment
英語明治後期
環(ぐるりと囲む)と境(境界・領域)を組み合わせた漢語。元来は物理的な周囲の範囲を指したが、近代以降は生物・人間を取り巻く外部環境を指す。
公園社会
park
英語明治初期
公(パブリック・公共)と園(庭園・庭)の結合。公共の庭園という意味でparkの訳語となった。
郵便社会
post
英語明治初期前島密
「郵」は古代中国の官道に設けられた馬による伝令中継所を指す漢字。「便」は便宜・手紙の意。合わせて文書や荷物を配達する通信制度を表す。
福祉社会
welfare
英語明治期以降
「福」は幸い・富の意、「祉」も幸い・さいわいの意。ともに幸福を表す漢字の重ね合わせで、古典中国語にも用例がある。
階級社会
class / Klasse
英語・ドイツ語明治期
「階」は建物の段・階段を意味し、「級」は等級・順位を意味する。段階的な社会的序列を視覚的に表現した字義の組み合わせ。
運動社会
movement / motion
英語明治期
「運」は動かす・運ぶを意味し、「動」は動くを意味する。古典中国語にも「運動」の用例はあるが、近代的な物理・社会概念の担い手として再定義された。
民族社会
Volk / nation
ドイツ語・英語明治後期
「民」は人民・民衆を意味し、「族」は同一の血縁・文化・言語を共有する集団を意味する。血縁的・文化的共同体という意味内容を漢字で表現した。
野蛮社会
barbarian / savage / barbarie
英語・フランス語明治初期
「野」は野原・粗野・礼節のないさまを意味し、「蛮」は古典漢語で南方の未開民族を指す語。古典中国語に「野蛮」は「礼節のない・粗暴な」の意で存在した語で、barbarianの訳語として転用された。barbarianはギリシャ語barbaros(「バルバル」と聞こえる外国語を話す者)に由来する。
制度社会
institution / system
英語明治期
「制」は定めること、規制すること、「度」はものさし・基準・法度を意味する。社会の行為を一定の基準で整える仕組みを表す。
活動社会
activity / action
英語明治期
「活」は生き生きしていること、「動」は動くことを意味する。生命力をもって働き動くという字義から activity に対応した。
発展社会
development
英語明治期
「発」は開き出ること、「展」は広げることを意味する。内にある可能性が外へ開き広がるという字義で development に対応した。
解決社会
solution / resolution
英語明治期
「解」はほどく・分かること、「決」は決める・決着させることを意味する。絡んだ問題をほどいて結論を出すという字義で solution / resolution に対応した。
疑惑社会
suspicion / doubt
英語明治期
「疑」はうたがうこと、「惑」は心が迷うことを意味する。疑いによって心が定まらない状態から、 suspicion / doubt を表す語となった。
説得社会
persuasion
英語明治期
「説」はときあかすこと、「得」は納得して受け入れることを意味する。よく説明して相手に得心させることを表す。
懇願社会
entreaty / plea
英語明治期
「懇」はねんごろ・心を尽くすこと、「願」はのぞみ求めることを意味する。心をこめて願い求めるという字義で entreaty / plea に対応した。
断然社会
decisively / definitely / resolutely
英語明治期
「断」はきっぱりと切ること、「然」はそのような状態を表す。断ち切るように態度を明確にするという字義から decisively に対応した。
決定社会
decision / determination
英語明治期
「決」はきめる・断ずること、「定」は定めて落ち着かせることを意味する。物事をはっきり定めるという字義で decision に対応した。
決断社会
decision / definite decision / determination
英語明治期
「決」は決めること、「断」は断ち切ることを意味する。迷いやためらいを断ち切って決めるという字義で determination に対応した。
活計社会
livelihood / means of living
英語(対応語)古代〜明治期
「活」は生きること、「計」ははかる・営むことを意味する。生きるための手立てをはかるという字義で livelihood に対応した。
救助社会
rescue / relief / aid
英語明治初期
「救」はすくう、「助」はたすけること。二字を重ねて、危難や困窮から人を助ける行為を明確に示す語となった。
周旋社会
mediation / good offices / brokerage
英語江戸後期
「周」はめぐる、「旋」もめぐる意を持つ。各所を回って事を取り運ぶことから、仲介や斡旋の意味へ展開した。
交際社会
association / social intercourse / friendship / dating
英語平安中期福沢諭吉
「交」はまじわること、「際」は出会うこと。互いに出会い、関係を取り結ぶという字義を持つ。
謝罪社会
apology
英語明治初期
「謝」はわびること、「罪」はあやまち・つみ。罪や過失を認めて詫びることを二字で明示する。
集会社会
meeting / gathering / assembly
英語室町後期
「集」はあつまること、「会」は会すること。人々が一つの場所・目的のもとに集まる行為を重ねて示す。
娼婦社会
prostitute
英語江戸中期
「娼」は歌舞・色をもって客に仕える女を指し、「婦」は女性一般。行為や職能を抽象化した表現として構成された。
開拓社会
cultivation / pioneering / development
英語江戸末期
「開」はひらくこと、「拓」は押し広げること。未利用の土地や未知の領域を切り開く動きを二字で表す。
因循社会
conservatism / inertia / procrastination
英語平安初期
「因」はよること、「循」はしたがうこと。既存のものによりかかって従うという字義から、保守・停滞の意味へ展開した。
荷担社会
complicity / backing / abetting
英語室町後期
「荷」は荷物、「担」はになうこと。もとの『荷をかつぐ』意味から、他人の立場や行為を背負って助ける比喩へ展開した。
旧弊社会
old abuse / old evil / obsolete custom
英語平安中期
「旧」は古いこと、「弊」は害や悪い習わし。古くから続く悪弊をまとめて示す。
鰥寡社会
widowers and widows
英語奈良時代
「鰥」は老いて妻のない男、「寡」は夫のない女。配偶者を失った男女を対で示す漢語である。
関係社会
relation / connection / relationship
英語室町後期
「関」はかかわること、「係」はつながること。複数のものが結びつき影響し合う状態を示す。
協力社会
cooperation
英語明治初期
「協」は心や力を合わせること、「力」はちから。複数の人が力を一つにする状態を簡潔に示す。
姑息社会
temporary expedient / stopgap
英語江戸初期
「姑」はしばらく、「息」は息をつくこと。ひとまずその場をしのぐために休息を取る意から、一時しのぎの意味になった。
在留社会
residence / stay / residing abroad
英語江戸前期
「在」はその場にあること、「留」はとどまること。一定の土地に住みとどまる状態を示す。
雑居社会
mixed residence / mixed occupancy / living together
英語鎌倉初期
「雑」はまじること、「居」は住むこと。異なる人や物が混在して住む状態を表す。
衆庶社会
the masses / common people
英語奈良時代
「衆」はおおぜいの人、「庶」はもろもろの人々。多数の一般人をまとめて指す漢語である。
市街社会
town / city streets / urban district
英語江戸後期
「市」は市やまち、「街」は通り。商業と通行の場が重なった都市空間を表す。
熟談社会
thorough discussion / settlement by discussion
英語安土桃山時代
「熟」は十分にこなれること、「談」は話し合うこと。よく話し合って結論を得るという意味を表す。
仁恤社会
benevolent relief / compassionate care
英語平安初期
「仁」は仁愛、「恤」はめぐみあわれむこと。徳の心による救いと配慮を一語で表す。
潜居社会
living in seclusion / hiding out
英語江戸後期
「潜」はひそむこと、「居」は住むこと。人目を避けて住みつく状態を表す。
側微社会
humble / obscure
英語不明
「側」はかたわら・卑しい意、「微」はかすか・低い意。合わせて卑賤で目立たない身の上を表す。
存意社会
intention / view / thought
英語江戸後期
「存」は心にたもつこと、「意」は考え。胸中に抱いている考えや意向を表す。
怠慢社会
neglect / laziness / dereliction
英語奈良時代
「怠」はおこたること、「慢」はなおざりにすること。務めを緩めて放置する意味を重ねる。
懦弱社会
cowardly / weak-willed / feeble
英語平安中期
「懦」は気が弱いこと、「弱」はよわいこと。内面的な脆さを重ねて表す。
比隣社会
neighboring houses / neighborhood
英語江戸中期
「比」は並ぶこと、「隣」はとなり。家が並び接している状態を表す。
浮説社会
rumor / baseless story
英語平安中期
「浮」はうつろで根拠のないこと、「説」は言い分や話。地に足のつかない言説を表す。
附属社会
attached / belonging to / affiliated
英語飛鳥時代
「附」は付ける・従うこと、「属」はぞくすること。主たるものに結びついて属する関係を表す。
無頼社会
lawless / outlaw / disreputable
英語不明
「頼るところが無い」の意から、寄る辺なく放埒な状態や人を指すようになった。
弊害社会
evil effect / harmful consequence
英語幕末
「弊」はたるみから生じる害、「害」はそこなうこと。仕組みのゆるみが生む悪影響を表す。
乱暴社会
violence / roughness / reckless behavior
英語不明
「乱」はみだれること、「暴」はあらいこと。秩序を外れた荒っぽさを示す。
履歴社会
personal history / record / background
英語近代
「履」はふむ・経ること、「歴」はへめぐること。通ってきた道筋を示す。
流民社会
displaced people / wandering people
英語不明
「流」は流れさまようこと、「民」はたみ。定住地を失った人々を表す。
陋習社会
bad custom / degrading practice
英語江戸中期
「陋」はせまく卑しいこと、「習」は習わし。卑しいならわしを表す。
露宿社会
sleeping outdoors / camping out
英語不明
「露」は露天の意、「宿」はやどること。屋外で宿る状態をそのまま示す。
家庭社会
home
英語近代
「家」は住まい・家族、「庭」はその内側の場。住居と生活空間をあわせて、身近な暮らしの単位を表す。
年齢社会
age
英語明治期
「年」は穀物の一年の実りから転じて年月・歳月を表し、「齢」は歯(歯列の変化で年齢を判断した古代の慣習)に由来する形声字で生きた年数を意味する。両字とも古典漢語に存在し、それぞれ「よわい」に相当する。
子孫社会
descendant / posterity / offspring
英語古典漢語由来
「子」はこども、「孫」はまご・後代の血縁を表す。descendant はラテン語 descendere(下る・由来する)に由来する。
人類社会
mankind / humankind / human race
英語古典漢語由来・明治期
「人」は人間、「類」は同じ種類・仲間を表す。mankind は古英語系の man と kind に由来し、現代では humankind や human race も用いられる。
平民社会
commoner / common people
英語明治期
「平」は普通・等しい、「民」は人民。commoner は特権身分でない一般人をいう。
自助社会
self-help
英語明治初期中村正直
「自」は自分自身を、「助」は助ける・援けることを意味する。古典漢語「天道自助者」(天は自ら助くる者を助く)に由来する表現で、中村正直はスマイルズのself-helpの字義とこの漢籍典拠を重ね合わせて訳語に採用した。
自立社会
self-reliance / independence
英語明治初期福沢諭吉
「自」は自分自身で・みずからを、「立」は立つ・自らの足で立つことを意味する漢字。古典漢語にも「他に依頼せず己の力で立つ」という意味での用例があり、明治期にself-reliance・independenceの個人的・倫理的側面を表す訳語として再定義された。