酸素科学
zuurstof / oxygen
オランダ語・英語江戸後期宇田川榕菴

1798–1846(48歳)
江戸後期の蘭学者・医師・化学者。江戸の大垣藩医の家に生まれ、のちに津山藩医で蘭学の名門であった宇田川家の養子となった。オランダ語を通じて西洋の医学・植物学・化学を学び、薬学や本草学の枠を越えて近代科学の体系そのものを日本語で紹介した。
1830年代には『植学啓原』と『舎密開宗』を著し、日本最初期の体系的植物学書・化学書を成立させた。この過程で「元素」「酸素」「水素」「窒素」「炭素」「酸化」「還元」「溶解」「細胞」「属」など、現在も用いられる学術語を数多く造語・定着させた。西洋概念を単に音写するのではなく、漢語として意味が通るかたちに再構成した点に大きな特色がある。
また温泉分析や試薬の製法、植物観察など実験・観察にも熱心で、翻訳者であると同時に実践的な研究者でもあった。江戸時代の段階で近代科学の語彙基盤を整えた功績から、日本化学史・植物学史の先駆者として高く評価されている。